「SDSとMSDSは何が違うの?」
「昔のMSDSは今でも使える?」
「SDSとMSDSは別の書類?」
化学品を扱う企業では、このような疑問を持つ方も少なくありません。
結論からいうと、現在使われている「SDS」と、以前使われていた「MSDS」は、基本的には同じ目的の文書を指しています。
現在は、原則として**「SDS(安全データシート)」という名称が使用されています。**
この記事では、SDSとMSDSの違い、名称が変更された理由、現在のSDSに記載される内容について、分かりやすく解説します。
SDSとは?
SDSとは、**Safety Data Sheet(安全データシート)**の略称です。
化学物質や化学品を取り扱う際に必要となる、危険性・有害性や安全な取扱い方法などの情報をまとめた文書です。
SDSには、例えば次のような情報が記載されています。
- 化学品の名称
- 成分・組成
- 危険有害性
- 応急措置
- 火災時の措置
- 漏出時の措置
- 取扱い・保管方法
- 保護具
- 物理的・化学的性質
- 有害性情報
- 環境影響情報
- 廃棄・輸送に関する情報
- 適用法令
厚生労働省も、SDSを化学物質等の物理化学的性質、危険性・有害性、取扱い方法などの情報を提供するための文書として説明しています。
MSDSとは?
MSDSは、
Material Safety Data Sheet
の略称です。
日本語では「化学物質等安全データシート」などと呼ばれていました。
以前は、日本国内でも化学物質の安全情報を伝える文書として「MSDS」という名称が広く使われていました。
しかし、国際的なGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)との整合を図るため、現在は**「SDS」という名称に統一**されています。
SDSとMSDSの違い
SDSとMSDSを簡単に比較すると、次のようになります。
| SDS | MSDS | |
|---|---|---|
| 正式名称 | Safety Data Sheet | Material Safety Data Sheet |
| 日本語 | 安全データシート | 化学物質等安全データシート |
| 現在の名称 | SDS | 旧称 |
| 主な目的 | 化学品の危険有害性・安全な取扱い方法などの情報提供 | 基本的に同じ |
| GHSとの関係 | GHSに対応 | 現在は旧称として扱われる |
つまり、
MSDS → SDS
という名称の変更と考えると分かりやすいでしょう。
なぜMSDSからSDSに変わったの?
大きな理由の一つが、国際的な統一です。
GHSでは、化学品の危険有害性に関する情報を伝達するための文書を「SDS」としています。
そのため、日本でもGHSとの整合を図り、従来の「MSDS」から「SDS」という名称が使われるようになりました。
経済産業省の資料でも、平成24年3月の統合に伴い、安全データシートの名称が「MSDS」から「SDS」に変更されたことが示されています。
また、日本ではGHSに基づく情報伝達について、**JIS Z 7252「GHSに基づく化学品の分類方法」とJIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法」**が定められています。
MSDSという言葉はもう使わないの?
現在、新しく作成する文書については、「SDS」という名称を使用するのが基本です。
ただし、過去に作成された資料や社内文書、取引先から提供された古い資料などでは「MSDS」という表記が残っていることがあります。
例えば、
「MSDSを提出してください」
と取引先から言われた場合でも、通常は現在のSDSを求めているものと考えられます。
ただし、実際の取引では相手先の指定様式や要求内容がある場合もあるため、必要に応じて確認することが大切です。
SDSには何が書かれている?
現在のSDSは、GHSに基づく情報伝達のための文書として作成されます。
一般的なSDSは、次の16項目で構成されています。
1.化学品及び会社情報
製品名、供給者の情報、連絡先などを記載します。
2.危険有害性の要約
GHS分類、絵表示、注意喚起語、危険有害性情報などを記載します。
3.組成及び成分情報
化学品に含まれる成分やCAS番号、含有量などを記載します。
4.応急措置
吸入、皮膚への付着、眼への接触、飲み込んだ場合などの応急措置を記載します。
5.火災時の措置
適切な消火方法や、火災時に発生する可能性のある危険性などを記載します。
6.漏出時の措置
漏洩した場合の回収方法や、人体・環境への注意事項などを記載します。
7.取扱い及び保管上の注意
安全な取扱方法、保管条件、避けるべき条件などを記載します。
8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度や適切な保護具などを記載します。
9.物理的及び化学的性質
外観、臭い、pH、融点、沸点、引火点などを記載します。
10.安定性及び反応性
安定性、危険な反応、避けるべき条件などを記載します。
11.有害性情報
急性毒性、皮膚腐食性・刺激性、発がん性など、健康影響に関する情報を記載します。
12.環境影響情報
生態毒性や残留性・分解性など、環境への影響に関する情報を記載します。
13.廃棄上の注意
化学品や容器を廃棄する際の注意事項を記載します。
14.輸送上の注意
輸送に関する国際・国内規則や危険物情報などを記載します。
15.適用法令
労働安全衛生法、化管法、毒物及び劇物取締法など、該当する法令を記載します。
16.その他の情報
参考情報やその他必要な情報を記載します。
SDSは「作って終わり」ではありません
SDSは、一度作成すればその後ずっと同じものを使用できるとは限りません。
例えば、
- 原料の変更
- 成分情報の変更
- GHS分類の変更
- 法令の改正
- 新しい有害性情報の入手
- 製品用途の変更
などがあった場合には、SDSの内容を確認し、必要に応じて改訂する必要があります。
厚生労働省も、SDSによる危険有害性情報の通知や、その情報の更新について制度を設けています。
また、現在のSDS作成では、最新の法令だけでなく、JIS Z 7252・JIS Z 7253などの最新の規格を踏まえて確認することが重要です。経済産業省の資料では、現在の規格としてJIS Z 7253:2025が示されています。
まとめ|MSDSはSDSの旧称と考えると分かりやすい
SDSとMSDSの違いをまとめると、
MSDSは、以前使われていた名称。
SDSは、現在使われている名称です。
どちらも、化学品の危険性・有害性や安全な取扱い方法などの情報を伝えるための文書という点では基本的な目的は同じです。
現在、新たに作成・改訂する場合は、「SDS(安全データシート)」という名称を使用するのが一般的です。
化学品メーカーや商社などで「MSDSを作りたい」「MSDSを更新したい」と言われた場合も、まずは現在のSDSとしてどのような内容が必要なのかを確認することが重要です。
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