「SDSを新しく作成したいけれど、何を準備すればいい?」
「SDS作成を外注したいが、必要な資料が分からない」
「原料SDSや成分情報が揃っていない場合でも依頼できる?」
SDSを作成する際には、製品名や成分情報だけでなく、CAS番号、含有量、物理化学的性質、原料SDSなど、さまざまな情報が必要になります。
特に混合物の場合は、各成分の情報がGHS分類やSDSの記載内容に関係するため、成分情報を正確に把握することが重要です。
この記事では、SDS作成に必要となる主な情報や資料、作成を依頼する前に確認しておきたいポイントについて、分かりやすく解説します。
SDS作成にはどのような情報が必要?
SDS(安全データシート)は、化学品の危険有害性や安全な取扱いに必要な情報を伝えるための文書です。
SDSには、化学品の名称、成分情報、物理化学的性質、危険有害性、応急措置、取扱い・保管方法、廃棄方法、適用法令など、さまざまな情報が記載されます。
そのため、SDSを作成する際には、製品に関する情報をできるだけ整理しておくことが大切です。
代表的な資料として、以下のようなものがあります。
| 情報・資料 | 主な内容 |
|---|
| 製品名・製品情報 | SDSを作成する製品の名称、製品コードなど |
| 成分情報 | 成分名、含有量・濃度範囲など |
| CAS番号 | 各成分を特定するための番号 |
| 原料SDS | 製品に使用している原料のSDS |
| 物理化学的性質 | 外観、pH、沸点、引火点、溶解度など |
| 既存SDS | SDSを改訂する場合に使用 |
| 用途情報 | 製品の推奨用途、使用上の制限など |
| その他の資料 | 試験データ、メーカー資料など |
すべての製品で同じ資料が必要になるわけではなく、製品の種類や成分、作成・改訂の内容によって必要な情報は異なります。
SDS作成に必要な主な情報
1.製品名・製品情報
まず必要になるのが、SDSを作成する製品そのものの情報です。
例えば、
- 製品名
- 製品コード
- 製品の種類
- 化学物質・混合物の区別
- メーカー名・販売者名
- 用途
などです。
SDSの名称は、製品ラベルなどとの整合性も重要になります。
厚生労働省のSDS関連資料でも、SDSの名称とラベルの名称を一致させることが示されています。
2.成分情報
SDS作成で特に重要なのが、製品に含まれる成分の情報です。
混合物の場合は、例えば次のような情報を確認します。
- 成分名
- 化学名・一般名
- CAS番号
- 含有量
- 濃度範囲
- 不純物
- 添加剤
- 安定化剤
厚生労働省の資料でも、SDSの「組成及び成分情報」について、成分の化学物質名称や含有量を記載し、CAS番号や別名などを記載することが望ましいとされています。
特にGHS分類を行う場合、どの成分がどの程度含まれているかという情報が重要になります。
3.CAS番号
CAS番号(CAS RN)は、化学物質を特定するための重要な情報です。
例えば、
成分名:○○○
CAS RN:1234-56-7
のように記載されます。
成分名だけでは同じような名称の物質を区別しにくい場合がありますが、CAS番号を使うことで対象物質を特定しやすくなります。
厚生労働省も、SDSの成分情報についてCAS番号や別名を記載することが望ましいとしています。
また、厚生労働省のSDS関連データベースでも、CAS番号を利用して物質を検索できるようになっています。
4.原料SDS
製品が複数の原料から構成される場合、使用している原料のSDSも重要な資料になります。
例えば、製品を製造するために、
- 原料A
- 原料B
- 原料C
を使用している場合、それぞれの原料SDSを確認することで、成分や危険有害性などの情報を整理しやすくなります。
原料メーカーから提供されたSDSがある場合は、SDS作成時の参考資料として活用できます。
特に、製品の成分情報が複雑な場合には、原料SDSを整理しておくことで作成作業を進めやすくなります。
5.物理的及び化学的性質
SDSには、製品の物理的・化学的性質に関する情報も記載します。
例えば、
- 物理状態
- 色
- 臭い
- pH
- 融点・凝固点
- 沸点
- 引火点
- 自然発火点
- 蒸気圧
- 比重
- 溶解度
などです。
厚生労働省の資料でも、SDSの物理的・化学的性質として、外観、pH、融点、沸点、引火点、蒸気圧、溶解度などが例示されています。
ただし、製品によって必要となる情報や利用できる情報は異なります。
測定データがある場合には、そのデータをSDS作成時の資料として使用します。
6.既存のSDS
すでにSDSがある場合は、現在使用しているSDSを用意しておくことをおすすめします。
特に、
- SDSの改訂
- 古いSDSの更新
- 日本語SDSから英語SDSへの展開
- SDSの内容確認
などの場合には、既存SDSが重要な参考資料になります。
既存SDSを確認することで、
- これまでの記載内容
- 成分情報
- GHS分類
- 適用法令
- 輸送情報
などを確認できます。
ただし、古いSDSの内容をそのまま使用できるとは限りません。
法令やJIS、GHS分類方法などが変更されている場合もあるため、最新の情報を確認したうえで改訂することが重要です。
7.製品の用途
SDS作成では、製品がどのような用途で使用されるのかという情報も重要です。
例えば、
- 工業用洗浄剤
- 接着剤
- 塗料
- インキ
- 潤滑剤
- 研究用試薬
- 表面処理剤
など、製品によって想定される用途は異なります。
また、SDSでは「推奨用途」や「使用上の制限」に関する情報も扱います。
厚生労働省のQ&Aでは、労働安全衛生法に関連するSDS記載事項として「想定される用途及び当該用途における使用上の注意」が示されており、2024年4月1日から適用されています。
そのため、SDSを作成する際には、
「この製品は何に使用するものなのか?」
を確認しておくことが大切です。
8.その他の資料
製品によっては、以下のような資料もSDS作成の参考になります。
- 製品仕様書
- 技術資料
- 試験成績書
- 分析結果
- メーカー資料
- 既存のラベル
- 輸送関連資料
- その他の安全性に関する資料
特に、SDSに記載する情報について信頼できる資料が複数ある場合は、それらを確認しながら情報を整理することが重要です。
SDS作成に必要な情報を一覧で確認
SDS作成を依頼する前に、次の情報があるか確認してみましょう。
基本情報
□ 製品名
□ 製品コード
□ 製品の用途
□ メーカー・販売者情報
成分情報
□ 成分名
□ CAS番号
□ 含有量・濃度範囲
□ 添加剤・安定化剤などの情報
□ 原料SDS
物性情報
□ 外観
□ pH
□ 沸点
□ 引火点
□ 密度・比重
□ 溶解度
□ その他の物性データ
既存資料
□ 現在使用しているSDS
□ ラベル
□ 製品仕様書
□ 試験データ
□ その他の技術資料
このような資料が揃っていると、SDS作成をスムーズに進めやすくなります。
情報がすべて揃っていなくてもSDS作成を依頼できる?
「必要な資料が全部揃っていないので、SDS作成を依頼できないのでは?」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、最初からすべての情報が揃っているとは限りません。
例えば、
- CAS番号が分からない
- 一部の物性値がない
- 原料SDSが古い
- 既存SDSしか手元にない
- 成分情報が一部不明
といったケースもあります。
そのような場合でも、まず現在お持ちの資料を整理して、何が不足しているのかを確認することが重要です。
無理に情報を推測してSDSを作成するのではなく、必要な情報を確認しながら作成を進めることが大切です。
SDS作成では「情報の正確性」が重要
SDSは、単に16項目の文章を埋めれば完成するものではありません。
例えば成分情報が間違っていると、
成分情報
↓
GHS分類
↓
危険有害性情報
↓
SDS・ラベル
といった複数の部分に影響する可能性があります。
そのため、SDS作成では、入手した情報を確認し、必要に応じて複数の資料を照合することが重要です。
厚生労働省のGHS関連資料でも、GHS分類は化学物質の危険性・有害性に関する情報を判定基準に当てはめて区分を決定するものとされています。また、混合物では、利用可能なデータや「つなぎの原則」などを用いて分類します。
SDS作成では最新の規格・法令の確認も必要
SDSを作成するときには、成分情報だけでなく、現在適用される規格や法令を確認することも重要です。
特に近年はSDS・GHS関連の規格が改正されています。
2025年には、
- JIS Z 7252「GHSに基づく化学品の分類方法」
- JIS Z 7253「GHSに基づく化学品の危険有害性の情報伝達方法」
が改正されました。
経済産業省によると、2025年の改正では、GHS分類方法の見直しや、SDSの附属書Dの見直し、危険有害性情報・注意書きなどについて変更が行われています。
そのため、古いSDSを更新する場合には、以前のSDSをそのまま転記するのではなく、現在の規格・法令に照らして内容を確認することが重要です。
SDS作成を依頼する前に確認しておきたいこと
SDS作成を外注する場合は、次のような点をあらかじめ整理しておくとスムーズです。
① 新規作成か改訂か
新しくSDSを作成するのか、既存SDSを改訂するのかを確認します。
② 日本語SDSか英語SDSか
国内向けなのか、海外向けなのかによって、必要となる対応が異なる場合があります。
③ 製品は単一物質か混合物か
混合物の場合は、複数の成分について情報を確認する必要があります。
④ 成分情報は揃っているか
成分名、CAS番号、含有量などを確認します。
⑤ 原料SDSはあるか
原料メーカーから提供されたSDSがあれば、準備しておきます。
⑥ 既存SDSはあるか
改訂の場合は、現在使用しているSDSを用意します。
⑦ 希望納期はいつか
通常納期でよいのか、急ぎなのかを事前に伝えておくとスムーズです。
⑧ 希望する納品形式
Excel、PDFなど、社内で使用する形式を確認しておきます。
SDS作成を外注するメリット
SDS作成には、成分情報の整理だけでなく、GHS分類、各種情報の確認、法令・規格の確認、SDS全体の整合性確認など、さまざまな作業があります。
そのため、社内でSDS作成を行う時間が取れない場合には、専門の事業者へ外注する方法もあります。
特に、
- SDSを初めて作成する
- SDS作成担当者が不足している
- SDSを大量に改訂する必要がある
- 英語SDSも作成したい
- GHS分類について確認したい
- 古いSDSを最新の内容に更新したい
といった場合には、外部への依頼を検討することができます。
SDS作成を依頼するなら、まず資料を整理しましょう
SDS作成に必要な情報は、製品によって異なります。
まずは、
「製品情報」
「成分情報」
「原料SDS」
「物性情報」
「既存SDS」
など、現在手元にある資料を整理してみましょう。
すべての情報が揃っていない場合でも、現在お持ちの資料を確認することで、追加で必要となる情報を整理できる場合があります。
まとめ|SDS作成では成分情報と関連資料の準備が重要
SDS作成に必要となる主な情報は、以下のとおりです。
- 製品名・製品情報
- 成分名・含有量
- CAS番号
- 原料SDS
- 物理化学的性質
- 製品の用途
- 既存SDS
- 製品仕様書・試験データなどの関連資料
特に成分情報と含有量、CAS番号、原料SDSは、GHS分類やSDSの内容を検討するうえで重要な情報になります。
また、SDSは作成して終わりではなく、法令や規格、GHS分類情報などの変更に応じて内容を確認・改訂することも重要です。
2025年にはJIS Z 7252・JIS Z 7253が改正されているため、SDSを新規作成・改訂する際には、最新の情報を確認することが大切です。
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といった場合は、SDSサポートオフィスまでお気軽にご相談ください。
製品情報や現在お持ちの資料を確認したうえで、必要な作業内容やお見積りをご案内します。
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